令和2(2020)年度第1回定例会を開催しました


 今回は、「コロナ禍での看護教育の可能性を探る」をテーマにZoomを使った開催となりました。コロナ禍での看護基礎教育・臨床教育の現状を共有し、新たな教育の可能性を探ることが目的です。
 最初に、山本直美先生(佛教大学保健医療技術学部看護学科)が、「看護学概論」の授業について報告されました。DVDや当事者のリモート出演、リモートでのグループワークなどが活用され、スマホ時代の学生の得意分野が活かされ、学生の積極性が引き出され、効果的に学んでいる様子が紹介されました。
 次は、中岡亜希子先生(神戸女子大学看護学部)によるZoomやクラウド型教育支援サービスを活用した統合実習についての報告でした。DVDとZoomでのロールプレイを併用した事例患者や多職種連携活動の学習で、学生の学びは深まっているようでした。最終学年の実習が、オンラインだけになる不安は学生にも教員にもあったようですが、実習後、学生からは、自宅だからこそできた学習があったとの意見がきかれたそうです。
 続いて、臨床現場から、橋口智子氏、石飛悦子氏(奈良県立医科大学附属病院看護部)により4月からの新人看護師の教育の現状についてお話しいただきました。
COVID-19専用病棟設置により、新人看護師は予定の配属部署の変更を余儀なくされましたが、看護部長の橋口氏は新人看護師を「一緒に戦う仲間」であると考え、それを新人に入職式で伝えたそうです。新人を受け入れた病棟が部署の垣根を越えて協力したこと、e-learningを活用した集合研修やシミュレーション研修を実施したことで、新人は6月には夜勤ができるまでに成長したとのことでした。研修が少人数開催になったため、かえって新人への細やかな対応ができ、新人と先輩看護師の交流も深まったというメリットがある反面、教育担当者の負担への懸念が報告されました。次年度は、①部署間の情報交換 ②ローテーション研修の期間延長 ③ゆっくりとした教育 ④倫理観の教育 ⑤個人特性に応じたOJTなどが必要であると考え、教育体制の検討を進めておられるようでした。
 参加者全体でのディスカッションでは、臨床現場での教育実践についての意見交換が活発に行われました。基礎教育機関では、臨地でしか学べない内容は何か、オンライン実習と臨地実習の経験の違いは何なのかを十分に検討し、実習内容を精選する必要がある等の意見が出ました。今後もしばらくは続くであろうこの状況において、看護基礎教育と臨床をつなぐ協働の必要性を感じました。
オンラインでの開催となった今回の定例会でしたが、参加者それぞれが自分の教育活動の参考にできる多くの学びを得ることができました。貴重な発表をしていただいた4名の先生方、ご参加いただき討議への発言をいただきました参加者の皆様、ありがとうございました。