平成27年度第2回定例会を開催しました


平成27年度第2回定例会は、「清潔援助技術演習におけるパフォーマンス評価へのステップ-チェックリストとルーブリックの比較-」をテーマに1月23日に開催しました。
話題提供者は、看護エデュケア研究会代表で神戸市看護大学講師の澁谷幸先生です。IMG_2675
今年度は、「看護技術をどう評価するか?」をテーマとし、第1回定例会およびセミナーを企画してきました。これらの活動での議論や、学習内容の経緯を振り返りながら、実際の所属大学で現在取り組まれておられる「清潔ケアのルーブリック評価」の作成経緯をご紹介いただきました。さらに、これまで使用してきた「チェックリスト」と、試作中の「ルーブリック」の実際を提示いただきました。その提示いただいた内容をもとに、参加者全員で、映像をもとに模擬技術試験を実施しました。実際につけてみた実感をもとに、参加者全員で「チェックリストの利点・欠点」「ルーブリックの利点・欠点」、「何をみて、何を評価したのか?」と議論しました。
模擬技術試験をチェック中!

例えば、チェックリストは、「見るべき点が限られているので、つけやすい」「評価者が初心者でもつけられる」といった利点が挙がった一方で、「行為はつけられるけど、患者への配慮や、看護行為として適切かどうかを判断しづらい」などの意見がありました。
他方、ルーブリック評価では、「援助としてどうか?という総合的な観点で評価できる」といった利点とともに、「判断基準は曖昧になりそうな点があった。評価者間での協議が必要」「ルーブリックの観点を理解しておかなければいけない」などの意見もありました。ルーブリック評価をつけた参加者からは、「細かく行為の適切性を確認する視点から、援助として大きく捉えるといった、発想の転換が必要だった」「評価者全員がどこを目指して評価しているのかを合意して取り組む必要性」などの声もありました。
 さらに、各評価表を用いたときに、評価の観点の違いを議論すると、チェックリストは、「1つ1つ行為に沿ってその行為の間違い探し」という感覚が強く、一方ルーブリック評価は、「全体を援助として見た後に、行為を見直して評価する」と、評価のつけ方にも違いがあったようです。
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全体議論を踏まえて、どちらの評価方法が良いのではなく、「何を評価しようとしているのか?」を明確する大切さを改めて感じました。そして看護学生、あるいは新人看護師に身に付けてほしい能力とは何か、その能力を身に付けていくために必要なプロセスを考えた上で、教育方法があり、それを評価する方法があるのだと感じました。
評価に対する悩みはつきず、これが正解というものがあるわけではありませんが、評価のやり方にとらわれるのではなく、まずは、どこを目指し教育しているのか、そして何を評価するのか?という視点を持ち、見つめなおす大切さを感じた議論でした。

今回で、平成27年度の看護エデュケア研究会の定例会が終了しました。ご参加いただいた皆様、ご協力いただきました講師の先生方、本当にありがとうございました。
次年度もより会員の皆様、参加者の皆様とともに身近な看護教育の話題を語り合える場にしていきたいと考えています。
次年度も皆様の参加をお待ちしております。