2024年度看護エデュケア研究会第1回定例会が、神戸女子大学で開催されました。「看護学生の気づきを引き出すアプローチを考える」をテーマに、神戸市看護大学の澁谷先生から「発問」についての講義をしていただきました。
講義では、教育的な意図をもって学習者に関わっているか、「わかったつもり」と「わかった」の違いから、本物の「わかった」を生み出すには、どのような関りが必要であるかなど、事例を用いてわかりやすく講義をしていただきました。教員・指導者の解釈と学生の解釈のズレをどのように「発問」することで埋まるのかを「発問の三原則」(向山洋一、2021)「発問の種類」(池西静江、2017)を参考に提示されました。さらに、実習指導場面での「発問」では、学生に何を学んでほしいのかを指導者自身が明確にし、関わることで学生と指導者とのズレが埋まり、学生の「気づき」に繋がることをご教示いただきました。参加者自身も、今回の講義をとおして改めて自分自身の「発問」を振り返ることができました。
グループワークの様子
講義の後、参加者がご準備くださった実習指導場面でのプロセスレコードを基に、グループディスカッションを行いました。学生に何を学んでほしいのかを明確にし、教員・指導者の思いを伝える必要があります。ディスカッションでは、効果的な「発問」のタイミングを見計らいながら学生の「わかる」が本物になるようチャンスを逃さないようなかかわりが必要であることが話し合われました。また、教員・指導者の「発問」がうまく機能しない場合は、学生自身も実りのある目的に沿った実習になることが少なく、学んでほしかったことが学生に伝わらないまま臨地実習を終える可能性があります。このような場合、患者中心の看護援助とならず、看護学生中心の援助になる可能性があるのではないか、というような意見も出されました。また、何か問題が発生した場合は、指導者側は、すぐに振り返るのではなく、学生自身が1人で振り返る機会を持つことで、後日冷静に客観的な思考で話し合いができ学びに繋がる場合もあるという意見もありました。これらのことから、学生が「経験を意味付け成長できる」ためにはどの場面で「ゆさぶり」をかけるのか、学生が具体的な方法を見いだせるように効果的な「発問」を活用しながら、学生の「わかった」を生み出す必要があることがディスカッションをすることで共有されました。
今回のグループワークでは、指導者・教員自身が「発問」を十分に吟味し、学生の「わかる」に繋げていく重要性を改めて学び、考える機会となりました。最後に、参加者の皆様から、今回の学びを今後の学生指導に取り入れてみようと思う、という感想もいただきました。
講義をしていただきました、神戸市看護大学の澁谷先生、参加者の皆様、事例提供してくださいました参加者の皆様、貴重なお時間を頂き活発な話し合いができましたことに感謝申し上げます。