平成26年度 第2回定例会


平成26年度 第2回定例会
日時:平成27年1月25日(土)13時30分~16時00分
場所:大阪保健福祉専門学校

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第2回定例会「具体的な新人看護師指導事例から考えよう!」を開催しました。今回は、新たにご参加頂いた方が多く、病院勤務の看護職の方、専門学校や大学の教員ら合わせて21名の参加(スタッフ含)でした。
最初に、本会スタッフである奈良県立医科大学附属病院の橋口智子副部長より「新人看護師の教育をめぐる課題」として、平成22年からの新人看護職員研修の努力義務化の変遷、その後の新卒看護師の離職率や組織の変化などの話がありました。また、所属の病院における新人看護師(以下、新人)への支援環境や師長からあげられている新人の課題やその対策、さらに今後の課題として、現状のプリセプターシップでよいのか、現在話題になっているパートーナーシップ・ナーシング・システムの導入などへの迷いへの言及もありました。
 次に、本会スタッフで同大学病院の石飛悦子師長より、新人指導の2事例の発表がありました。1事例目は、病棟で期待さてれていた4年制大学を卒業した几帳面でまじめな新人の多重課題などからの辛い思いへの師長の取り組みでした。2事例目は、5年一貫校を卒業した負けず嫌いの新人の事例です。この事例では学習方法からの指導の必要性や、何度指導しても患者の立場になれないことが課題でした。病棟内で患者体験の実施への取り組みや指導者側の成長などを踏まえて現在も課題が残る状況であるとのことでした。
上記の話題提供を踏まえて、ディスカッションの最初に、パートナーシップとプリセプターシップの差異や移行への懸念が話されましたが、新人を思いやり育てる気持ちがあればどちらの体制でも同じで、組織がどんな人材を育成したいか、人材にとってどんな体制をとるのかが大事なのではないかという、改めて新人育成を見直す意見が出ました。
また、話題提供の事例に対するディスカッションからは、今の新人は成長の進度は個別に考える必要があり、一人ひとりの教育背景を十分に考慮して、配置も検討する必要性があること、教育に時間を要することなどが共有されました。そして、今話題でもある「社会人基礎力」の不足の課題が挙げられ、改めて、どんな人材が欲しいかというと、知識ではなく看護師としての素養をしっかり身に着けていることではないか、また、看護基礎教育の立場からも、看護技術教育はマナーを教えることを含むものでもあるという見解も出されました。
さらに、ディスカッションから、「どんな看護がしたいかを考えられ、患者さんの苦痛を考えられる人を育てたい」という共通認識がフロア内に生まれたように思います。そのためには、基礎看護教育の立場でも学生のときから、そして臨床の新人教育でも、「体験」をさせることで心を震わせる教育が必要であるという議論に発展しました。患者に立場に身をゆだねる困難さの原因は、たとえ体験をしても自分の体験が想起できず、実際の患者に直面した際に、体験と乖離が生じていることが考えられることから、自身を振り返させることへの継続したフィードバックや、新人2年目の患者体験プログラムなども具体的な教育方法として挙げられました。