平成25年度 第3回定例会


平成25年度 第3回定例会
日時:平成26年1月25日(土)13時30分~16時30分
場所:大阪保健福祉専門学校

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第3回定例会「看護技術教育の前提を問う~良い看護師を育てるために~授業案の検討」を開催しました。今回は、第1回定例会での足浴技術、第2回定例会での陰部洗浄技術を通しての議論を受けて、陰部洗浄技術において、何を伝えていくことが必要なのか?という問いをたてながら新たな授業案を、研究会スタッフ中岡亜希子(大阪府立大学)より提案しました。陰部洗浄という看護技術の特性や臨床現場と学内との違いといったこれまでの議論を踏まえ、仮想演習ミーティング形式をとり、参加者もこの授業を担当するという気持ちで提案された授業案を検討するという、これまでにない新しい試みでした。
 実際の演習ミーティングのように、単元考察にある教材観・学生観・指導観に対する意見交換をから始まりました。「教材観」では、この技術の特性はどこか?という議論となり、この単元を「清潔」と捉えるのか「排泄」の援助と捉えるのか。外陰部の援助との解釈は、肛門周囲のケアも含めた範囲なのだろうか。学生はこの援助をどのように受けとめる可能性があるか。色々な視点から議論は白熱しました。陰部洗浄は、清潔にするという点と排泄の援助としての側面を兼ね備えた援助であり、「排泄物を除去し、汚染を広げることなく、患者の清潔保持ができる」技術が求められること、そして学生に必要な知識、態度として「常に清潔を保持する必要性がある」ということを理解し、実践することが重要ではないか。学生にそのような理解を促すためには、演習の患者のシチュエーションをどのように設定するのかなど、このような援助を受けなければならない患者の思い、羞恥心だけでなく患者の自尊心への配慮、患者の尊厳に対する倫理的思考を兼ね備え、感じさせていく機会として本単元を捉える重要性に気付かされました。
またこれらの議論を通して、「ひととの関係性」抜きの技術となってしまうことは、結局単なる「手技」であってそれが看護技術ということになるのかという意見も出されました。「陰部洗浄」というひとつの技術から、看護技術とは何かといった本質的な議論もなされ、参加者それぞれの教育者の持つ考え方、看護技術の捉え方など、様々な視点を交換し合う場となりました。
 加えて「学生観」、「指導観」の検討では、実際の学生が「陰部」をどう捉えていて日々の自分の生活での清潔をどう保持しているのか、洗浄という認識があるのかといった、現代学生の清潔観念や生活感覚に対する意見交換もなされました。時に、予想を越えた学生の感覚や発言に対して、驚きの声が上がることもしばしばです。指導方法では、デモで重視すべきことが何かを見つめなおし、石鹸を活用した洗い方やポイントとすべき指導内容などについて改めて検討しました。その結果、看護師として「陰部洗浄」には、「観察」という視点の重要を踏まえて、本演習の目的を見直した上で、授業案の組み立てを修正していくという、真剣に議論する3時間となりました。

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