平成26年度 看護エデュケア研究会 セミナー報告


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平成26年9月13日(土)13:30~16:30に、兵庫県私学会館において、「臨床で『教え』『学ぶ』ということ-臨床現象の教材化とは?―」をテーマに、鎌田美智子氏(神戸常盤大学保健科学部看護学科 教授・学科長)をお迎えしてセミナーを開催致しました。このセミナーは、効果的に臨地実習を展開するために、臨地実習を授業科目として構成するとは、そして臨床現象を教材化するとはどういうことかを再考することをねらって企画しました。当日の参加者は62人(一般参加54人、スタッフ8人)で、そのうち5割以上は病院の看護師の方でした。

 講師の鎌田美智子先生は基礎看護学および看護教育学がご専門で、看護教育評価、臨床に生かす問題解決能力と看護過程、看護実践能力を育む臨地実習の意義などのテーマで執筆、講演を多数行ってきた方です。今回は、「臨地実習における学修の意義」「臨地の現象(事実・状況)の捉え方(教材化)」「『看護を教える』ための実習指導の検討」の3つの構成で講義をいただきました。臨地の看護現象は様々な条件がすべて含まれた丸ごとの教材であり、臨地でしか学べない、学生の情意領域を揺さぶる体験ができること、そのような場で学生を学ばせるには、臨地実習を授業の1つとして再構成し、現象を教材化するための枠組みを用いて指導すること、看護実践能力の統合(知識・技能・態度)として学生に臨地実習を体験させ、教育目標に即して評価すること、等についてお話いただきました。

 またコーヒーブレイクのあと、鎌田先生が提示された看護場面を用いて、参加者間でディスカッションする時間が設けられました。新人看護師が夜間に強い腹痛を訴えた患者に対応した場面を振り返り、自分の判断・行動は看護アセスメントと患者へのケア(看護)として不十分であったと反省している、という例題を読み、どのような「視点」を持てば、「看護アセスメントと患者の看護」になり得たのか、について話し合いました。臨床経験が豊富になればなるほど、症候のアセスメントが医学モデルに傾きやすくなりますが、鎌田先生は生じている現象を生活過程の枠組みから眺め、看護の視点で問題を焦点化することの重要性を解説されました。

 参加者の方々からの声として、「生活過程を看護の視点で観ることの大切さがわかった」「学生の現状と自分の指導の在り方を振り返り再考できる機会となった」「指導や教育は感覚ではなく、構造化されたものをもとに行うことが大事だと思った」などの意見がありました。日々の臨地実習指導に悩む指導看護師、教員の生の声がアンケートで多数寄せられ、今後のセミナーへの期待もいただきました。これからも、看護教育現場のリアルな課題について語り合う場を作っていきたいと思っています。

 皆様のご参加を今後もお待ちしております。(文責:鈴木)

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